009-009

死についての妄想

人を殺す夢

人を殺す夢をよく見る。理想は刺殺であるはずなのに、こぶしで相手を殴っている。明らかに殺意を持ち執拗に頭部を殴打しているにもかかわらず、相手がだんだんくたびれる様子を見ていると様々な念(本当に殺してしまうのか?奪うのか?人生を?殺人の過去を背負い死ぬまで生きていけるか?私はそんなに強いのだろうか?)が押し寄せて、とどめが刺せない。

 

命が誰のものであっても、それが命である限り、価値は等しい。虫の命も鳥の命も、人の命も尊くちっぽけだから、少ない力でも容易く押しつぶされてしまう。

スマホばかり見て歩く私達の靴の裏には、潰れたアリが貼り付いているように、私のと等価値の命は、誰にも気付かれることなく失われていたりするんだ。

 

ただ生きているだけでもさり気なく死んでしまうのに。

だからスキンヘッドの男を殴りながら、私がやるべきなのだろうかと、自分に問い続けている。

私は私で、あなたはあなたで死んでしまうのに。誰にも知られることなく、いつの間にか消えてしまうのに。