009-009

エスゾピクロンの散歩

生きた心地のしない長い一日にも、夜は必ず訪れて、つかの間の夢を私に見せてくれる。

眠る前に死にかけた日のことを思い出す。プツンと糸が切れてすべてが無になるようなあの感覚のことを。人に話すと怖いと言われる。人は死を恐れてる。

分からないから怖いんだろうな。だけど夜の睡眠は死の予行演習。何年も何十年も繰り返すうちに、みんなだんだん死の感覚を掴めてきて、そのうち怖くなくなるんだろうな。

そのときに私達はやっと、死の感覚について対等に話せるようになるのだろう。

待つよ。死ぬのが怖くなくなったとき、私達は本当の意味で、お互いの存在を大切に思えるんだろうな。