009-009

エスゾピクロンの散歩

選挙へ

頭が痒くて目が覚めた。それは途方のない痒みで、ばりばり掻き毟って傷ができても治まらず、指先が血でべとべとになるまで延々と頭を引っ掻き続けた。変な話だが本当の話だ。それから、朝の4時にもかかわらず、私は不潔なんだと大声で叫んで、そのあと、しくしくと泣きながら何度もシャンプーをした。洗い流して、またシャンプーをした。何度も何度も。気が済んだ頃にはすっかり日が昇っていた。少し仮眠を摂っていつも通り会社へ向かった。頭皮がせんべいのように乾いて痛い。そこで初めて安心した。とっても痛いが痒くない。今夜は安心して眠れそうだなと。

その日の晩は命を狙われる夢を見た。ドアスコープを覗くと刃物を持った女が立っていた。もう夢で命を狙われることなど慣れっ子なので勢い良く開けたドアの隙間から刃物を奪い取り逃げ去った。追われてもここは私の脳内。どうとでも操りようがあるのだ。この時点で私は既に気づいていた。明晰夢というやつに。ダクトの中を難なく這い進み辿り着いたのはパパの居る部屋。ここまで来て敵の気配の消失を察した。なぜか夢の中ではパパが安心の象徴になることが多く、彼が現れたらセーフなのだ。つまり今回の夢の勝者は私。見事逃げ切ったというわけ。

はあそれがなんだって言うんだ今夜も頭が痒い。009です\(^o^)/

 

明日の予定が無いのが不安で眠れない。常にタスクに埋もれてなきゃなんない私は。空白が私を狙ってる。何かに没頭してなきゃ殺されてしまうよ私は。他でもない私にね。言ってることわかる?自分と向き合ってるときが一番苦痛だって思う、だから他の何かに目を逸らしてる。気を取られてる間に時間が過ぎてくれないかな。全部時間が解決してくれないかな。ないよな。

選挙の案内が届いてた。無知なので、選挙なんてと思ってこれまで逃げてきたけど、今回はちゃんと行こうかな。この一票が国を動かすわけがない。でもこの一票が私を"選挙に参加する一般的で常識的な人間"に変える機会をくれるなら、今度こそは立ち向かうべきだと思う。踏み出すべきだと思う。普通人間への第一歩を。

色々書いても全部無意味だけど。書いたことは全部本当。変だな。