009-009

ロングロングプロフィール

日常会話のすべて

役員のおじさんがマンツーマンの面談タイムを設けてくれた。悩みないスカ?業務で改善できそうな箇所ないスカ?だいたいそんな無難な質疑応答がある。普段頭スッカラカンの私には荷が重いタスクであった。だいたい察してくれているとは思うけど会社に仲の良い同僚(?)ってやつがいない。上に媚びず下にも威張らずただ四六時中他人行儀な振る舞いだ。こういう態度を取っていれば勘付く人は勘付くもので、こちらに歩み寄るのを諦める。何の話だ?面談か。そんなわけでもちろん役員のおじさんとも"適度な"距離感があり、向こうもいささかやりづらそうに見えた。

「で?009さんてどこに住んでるんだっけ?」

「○町です」

「○町ってあの○町?あんな場所に家あんの?」

「当時駅周りに3件ほどあったんです。偶然一部屋空きがあって…ラッキーでした。今はわりと駅周りに新しいマンションが乱立しているようですが(しまった!あるかないかと聞かれているのだからあるとだけ答えて本題を待てばよかったアゥ)」

「っへぇ〜。いつから?」

「はたちからなんで、結構長いですね…(アァ〜!!普通に7年以上と言えばよかったまた具体性のない返答を…グワァ〜!)」

「ところで今後の業務についてなんだけど…」

 

といった具合に話は進んでいく。なおこの先も自分の受け答えのダメさに心の中のざぶとんに顔を埋めて悶えていたよ。有給とりなよ、何もなくてもさ、家でぼーっとする日があってもええやん?あー、そうかもしれないですね。まあ必要になれば取るのでご心配なく…ってなんか違うじゃん。そうかもしれないですねからの全否定やめろよ。そうかもしれなくないだろお前〜!!

 

会話の中で、会話が成立してないことに気が付く。最初に入社した企業では「会話も何もかも包み隠さず全部報告して!!」と指示されていたのであったこと全部をつらつらと先輩に報告し、彼女が満足そうにしたら合格。そういうもんだと思ってた。社会人の報連相って。で、次の会社で「まず結論から。次に理由を簡潔に述べよ」とオーダーを受けてまた戸惑った。どっからどこまで言ったらいいの?経過はいらないってこと?結局何を知れたらそれで良くて、何が無駄な話になるの?全然わかんねえ。とりあえず結果だけ話す。聞かれたら理由も話す。それ以外は何も喋らねえ。自然とそういうスタイルになっていった。業務上はそれが正解っぽかった。でも日常会話がてんでだめになった。昼ごはんを食べながら、コーヒーを飲みながら、ふとした空き時間に、みんな、やるよね?日常会話。私は祈ってるよ、私に話題を振ってこないでと毎日祈ってるよ。軽いパスのつもりだろうけど私には心をバッファローの群れが駆け抜けるような重量感があるんだよ。私達くらいの親しさ(親しくない)で、その質問を投げてきたということは、どの部分をピックアップした返事がほしいんだ?結果だけ話しても意味分からなくてハア?って顔するでしょ。だから当然理由も簡単に添えたいわけだがエピソードがありすぎてどれをチョイスすれば満足してもらえるのかとんと見当がつかんのです。ってかテメーらを満足させるための日常会話なんかゴメンだよー。脳みそフル稼働してもまだ答えに迷ってる。なんとか絞り出した無難な答えも沈黙を埋める為のしのぎにしかならないし、君の返事は「へー!」で終わるし。そんなこと聞いて、どうすんの?私たちって今、会話する意味ある?この会話ってさ、ちゃんとゴールあるよね?どこに向かってんの?なんで喋らなきゃなんないの?人と話すときつらいんだ。会話が成立してないって分かってるのに無理矢理話を繋げてまた会話がこんがらがって、この話は省いていいなとか、この話は詳細に話そうってその場で考えたらあとで説明不足に気づいたりして、やっちまったなーと焦ってる間にもう次の話にシフトしてて、でもまあ君真面目に話聞いてないからわかったようなふりでフンフン頷いて、だんだん誰のための私の話か分からなくなってきて、虚無な気持ちになるの。日常会話は無意味じゃない?